人にやさしく

 人にやさしく 歌手:THE BLUE HEARTS 作詞:甲本ヒロト

 1987年2月、THE BLUE HEARTSがメジャーデビュー前にインディーズで出したシングル。『リンダリンダ』と共に初期のブルーハーツの代表曲です。

 歌詞はこちらで。

 「ガンバレ!」と何度も呼びかけるフレーズがあるように、人へ対する応援歌ですが、そのままストレートに受け取れないもの哀しさが感じられます。

 ここ数年で人を励ます時の「頑張れ」という言葉の価値観が変わってきたような気がします。特に東日本大震災以後です。震災に合われた人に対して「頑張ってください」と声を掛けるのが残酷だという風潮が世間一般に行き渡っています。

 確かに、家や家族、仕事等大切なものを失ってしまった人、精神的に参ってしまっている人に対して「頑張れ」というのは、励ましというよりムチを打つようなものだと思います。頑張りたくても頑張れない状態の人へは酷な事ですよね。

 しかし、その方達も未来に向かって生きていかなければならない。その時には必ず頑張らなくちゃいけない時が来ると思うのです。この曲の歌詞を見ていると、そこまで相手に配慮しながら「ガンバレ!」と心の中で叫んでいる気がするのです。

僕はいつでも 歌を歌う時は
マイクロフォンの中から ガンバレって言ってる
聞こえてほしい あなたにも ガンバレ!

引用先

 1コーラス目のサビです。甲本ヒロトはストレートに「ガンバレ!」と言っているのではなく、マイクを通じて歌の中でメッセージを送っているのです。それを汲み取って感じて欲しいという解釈はできないでしょうか。

 疲れて沈み込んでいる人に必要なのは励ましよりも優しく癒す言葉だけではなく、頑張ってほしいと励ます心。そこをしっかりと指摘しながらも、それを素直に表現できないもどかしさを繰り返しの部分に綴っています。

やさしさだけじゃ 人は愛せないから
ああなぐさめてあげられない 期待はずれの 言葉を言う時に
心の中ではガンバレって言ってる

引用元

 この部分を見ても、やはり相手の気持ちを思って配慮していますよね。

 本来、この曲は「がんばれのうた」というタイトルだったそうです。それが「人にやさしく」に変更になった。単純に相手に「がんばれ」と言わない優しさが見え隠れするからこそ、ピッタリのタイトルですよね。

 普通、応援歌は応援される側がクローズアップされますが、この曲に関しては応援する側の心の葛藤にもフォーカスさせた凄い曲だと思います。

 以前、『一流が嫉妬したスゴい人』という番組があり、その中でビートたけしが嫉妬した相手として甲本ヒロトの名前を挙げていました。たけしは甲本ヒロトを「パンクなんだけど悲しさを感じる」「不良になりたいけどなれない不良」と表現していました。このコメントを聞いてすぐにこの「人にやさしく」が頭に浮かんだのです。

 「不良になりたいけどなれない不良」だからこそ、人の弱さ、悲しさを見事に表現した歌詞が書けたのではないでしょうか。

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