365日の紙飛行機 歌手:AKB48 作詞:秋元康

2016年12月リリース、AKB48、42枚目のシングル「唇にBe My Baby」のカップリング曲。NHK朝のテレビ小説「あさが来た」の主題歌。1960年代後半のカレッジフォークを彷彿させる爽やかなメロディとアレンジが心地よく、朝の風景にピッタリのナンバーです。
歌詞はこちらで。
正直、最初は気にかけていませんでしたが、毎朝テレビから流れているのを耳にするうちにいい曲だなと思う様になってきました。
ドラマは明治・大正に活躍した女性実業家をモデルにその半生を描いたもので、この曲もそれに合わせた夢と希望を持つ内容の歌詞だと解釈できます。
例えば1コーラス目のAメロ部の主人公の姿。朝の空を見上げて、一日の笑顔を願う。雨が降る日のように涙が溢れる日には、明日へ思いを託す姿。Bメロ部ではもう一人の自分がやりたいように自由に生きている夢を見る姿。
これらは男女同権とは程遠い制約のあった時代に生きる女性の心情を表していると思います。
そしてサビの部分
人生は紙飛行機 願いを乗せて飛んで行くよ
引用元
風の中を力の限り さあ心のままに 365日
毎朝聴いていて、このサビがどうしても腑に落ちなかったのです。動力を持たない紙飛行機は風の力に左右されます。強風だと遠くまで飛ぶし、風がないと目の前にポトリと落ちてしまいます。その紙飛行機に人生を例える意味が分からないのです。
そのまま解釈すると風の吹くままに飛んでいく、他力本願的な人生だという風に聞こえるのです。自分の力で自らの道を切り開く女性のドラマ主題歌としては何か違うような気がしてなりませんでした。
しかしその疑問はしばらくして解決しました。テレビの歌番組でAKB48がこの曲を披露してフルコーラスを聴いた際、ドラマではサビの部分を省略している事が分かったのです。
省略されているのは
その距離を競うより どう飛んだか どこを飛んだのか
引用元
それが一番 大切なんだ
このフレーズを聴いて、やっと納得できました。私の気持ちの中にあるジグソーパズルの抜け落ちたパーツを見つけたような感じになりました。
つまり風まかせで遠くへ飛ぶだけではなく、真っ直ぐ飛んだり、目的地を決めて飛んだりする為の事前準備が必要という事なのです。
まっさらな一枚の紙を始まったばかりの人生にたとえ、そこから試行錯誤して折り目を付けて、しっかりとした紙飛行機を仕上げる。その努力が人生には必要なんだよという意味だと思います。
この部分は作詞の秋元康氏のメッセージが一番込められた箇所ではないでしょうか。NHK何故それを省略するのだ!(笑)限られた放送時間の尺の関係とかがあるのでしょうが、歌詞を違った意味で解釈させてしまうような感じがしてひとりでウーンと首を傾げてしまうのです。せっかくのいい歌なのに勿体ない気が・・・。