白いパラソル

 白いパラソル 歌手:松田聖子 作詞:松本隆

 1981年7月リリース、松田聖子6枚目のシングル。作曲はチューリップの財津和夫。財津氏自身もセルフカバーしています。後に松田聖子と最強コンビを組む松本隆作詞のシングル初作品(アルバム収録曲は以前に1曲だけあり。※白い貝のブローチ)です。

 歌詞はこちらで。

 この曲は「ザ・ベストテン」で初登場第一位という快挙をなしとげています。当時の松田聖子は向かうところ敵なしの最強アイドルだった事を証明するエピソードです。

 発売当初はただのアイドルソングと思い、歌詞の内容を深く考える事はありませんでした。ところが時が経ち改めて聴きかえしてみると松本隆の世界観が散りばめられた深い歌詞に思えてきました。

 夏のビーチに恋人と出かけた女性。彼氏の素っ気ない態度に若干イラつく姿を描いた歌だと解釈できます。

 モノや風景に登場人物の心理描写をさせるのが80年代の松田聖子&松本隆ワールドの特徴です。

 例えば1コーラス目のAメロとBメロ、“髪にジャスミンの花”“青空はエメラルド”から彼女の弾む心が読み取れます。しかしその後に続く、

あなたから誘って 素知らぬ顔はないわ あやふやな人ね

引用元

 このフレーズで若干雲行きが変わり、彼女の中に不安な気持ちが芽生えてきているように感じます。それを表わしてるのがサビに出てくる“砂時計”です。

渚に白いパラソル 心は砂時計よ あなたを知りたい 愛の予感

引用元

 砂時計はひっくり返した時点から砂が下に落ちて、確実に時が流れているのを感じさせます。彼女の中にある、せっかく楽しいビーチに来たのに彼氏の素っ気ない態度に時間が刻々と無駄に流れていっている焦り。それを砂時計に例えたのではないでしょうか。

 その後も煮え切らない彼氏の態度に彼女は泣いてしまいます。

涙を糸でつなげば 真珠の首飾り 冷たいあなたに 贈りたいの

引用元

 ここがこの曲のキーポイントだと思います。「涙は女の武器」といいますが、それを前面に出してしまうと重い感じになってしまいます。敢えて涙を真珠に例える事で、重さを出さないまま、彼女の悲しさだけはしっかりと伝わってきます。さすが松本隆マジックです。

 そしてタイトルになっている「白いパラソル」は彼女のどんな気持ちを表しているのか。それは最後のくり返しサビの中に書かれています。

渚に白いパラソル 答は風の中ね あなたを知りたい 愛の予感

引用元

 目の前にいるのに、心ここにあらず的な彼氏。「俺の気持ちは風にでも聞いてくれ」のような素振り。彼女は自分が風に吹かれる白いパラソルならばその気持ちを理解できるかもと思ったのではないでしょうか。“風使い”松本隆氏ならではの表現です。

 最終的に彼氏の本当の気持ちはこの曲に描かれていません。ただ単にシャイな為に彼女と向き合えてないだけなのか。それとも別れを切り出すつもりで彼女を海に誘ったのかもしれません。そこまで連想させる世界観が松本隆氏の魅力だと思います。

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