二人のアカボシ

 二人のアカボシ 歌手:キンモクセイ 作詞:伊藤俊吾

 2002年1月リリース、キンモクセイ2枚目のシングル。躍動感のあるリズムに乗った切ないメロディーが印象的なナンバーです。

 歌詞はこちらで。

全国ラジオ局が選定するパワープレイを31局で獲得し、当時の最多パワープレイ獲得数を記録した。また、この楽曲のヒットにより同年の『第53回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした。 出典:ウィキペディア

 上記の情報の通り、当時FMラジオのスイッチを捻ればどの局でもヘビーローテーションで流れていた記憶があります。

 タイトルのアカボシは明星(みょうじょう)を訓読みしたもので、CDジャケットが袋ラーメンの「明星チャルメラ」のデザインをモチーフにしていたり、PVに屋台のラーメンが登場する等の遊び心が見られます。

 明星は金星の別名で、地球から一番近い惑星。「一番星見つけた!」の一番星も金星。明け方に見えるのが「明けの明星」、夕方に見えるのが「宵の明星」と呼ばれ、我々に最も馴染みが深い星です。この曲の中で重要な役割を果たしています。

 歌詞の内容は彼女との別れを決意した男が、その想いを伝えるまでの葛藤を綴ったものだという解釈ができます。

夜明けの街 今はこんなに 静かなのにまたこれから始まるんだね
眠る埋立地(うみべ)と 化学工場の 煙突に星が一つ二つ吸い込まれ

引用元

 1番、出だしのAメロです。夜明けの街、今は静かでも、夜が明けて工場が稼働すれば、慌ただしい賑わいに包まれる。彼の心の内を夜明け前の街に投影させているのでしょう。これから彼女に伝えなければいけない別れ。煙突の煙が星の輝きを一つ二つ消すように彼の中にある不安が穏やかな心を蝕んでいっているのです。

 彼の心の叫びはサビに表現されています。

あの高速道路の橋を 駆け抜けて君つれたまま
二人ここから 遠くへと逃げ去ってしまおうか

引用元

 どんな事情があって別れなければいけないのか、曲中からは推察出来ませんが、これが彼の本音なのですね。恐らく彼はその気持ちを口に出せずに抱えたまま、別れを告げる決意を必死に固めようともがいているのでしょう。

 そして無情にも時は流れ、夜は明けていきます。

沢山並んだ 街の蛍達も 始まる今日に負けて見えなくなってゆく
君とも離れることになる

見渡せば青く続く信号機が 二人の想いを照らせばいいのにな
明日の僕らは何処にいる?

引用元

 「消えていく街の蛍達」「青く続く信号機」…明け方の寂しげな街の風景が想像できるフレーズです。その寂しさも今の彼には現実を残酷に突きつけているのでしょうね。

 そして彼が覚悟を決めたところで曲は終わります。

さようなら街の灯りと 月夜と二人のアカボシ
最後の想いは 君が振り向く前に話そうか

夜明けの街…

引用元

 彼がさよならを告げた「街の灯り」と「月夜」は、二人が過ごした場所や思い出。「アカボシ」は二人が過ごした時間を表していると思います。ひと際輝く明星のように二人の過ごした時間もキラキラと輝いていたのでしょう。

 普通、夜明けとは暗い夜の終わり、新しいスタートを切るためのケジメといったようにポジティブなシチュエーションが多いですが、この曲のように別れの場面として使われるケースもあります。浜田省吾の「愛という名のもとに」も然りです。夜明け独特の静寂さは別れをより切なくさせますね。

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