制服

 制服 歌手:松田聖子 作詞:松本隆

 1980年1月リリース、松田聖子8枚目のシングル「赤いスイートピー」のB面。A面と同じく作詞:松本隆、作曲:呉田軽穂(松任谷由実)の最強コンビの作品です。

 歌詞はこちらで。

 80年代前半の松田聖子はB面やアルバム収録曲にも人気の高いものが多く、この曲はその代表的なものだと思います。

 卒業式を舞台にした「淡い恋心からの卒業」を綴った歌詞だと解釈できます。松本隆氏は斉藤由貴のデビューシングル「卒業」でも似たようなシチュエーションを描いています。

 共に同級生の男子に素直に気持ちを伝えられない女子が主人公ですが、「卒業」のほうは相手の男子と同じ歩幅で3年間歩んできたのに対し、「制服」は一歩後ろから背中をずっと追いかけてきた感じがします。フランクに男子と話す事ができた前者。もじもじして話しかけられるのを待っていた後者。クラスには必ずいる控えめで目立たない女子の典型ですね(笑)

 二人の関係性が想像できるフレーズがいくつかあります。

 1番のAメロ

卒業証書抱いた 傘の波にまぎれながら
自然にあなたの横 並ぶように歩いてたの 

引用元

 2番のサビ

テスト前にノートを 貸してくれと言われて
抜けがけだとみんなに責められた日もあるわ

引用元

 彼女は積極的に彼に寄り添って歩けません。傘の波に紛れて自然にと横並びになるしかなかったのでしょう。何故なら彼から「ノートを貸して」と言われただけで、周りから嫉妬されるような複数の女子の憧れの対象だったのです。

 彼と並んで歩く雨の中、気持ちを告白しようかと葛藤します。波のように気持ちが盛り上がるのを自分で諌めてしまう彼女。

このままでいいの ただのクラスメイトだから

引用元

 このフレーズに彼女の自信の無さが凝縮されていると思います。

 「憧れの対象だった彼と目立たなかった自分では釣り合いが取れないじゃないだろうか」「四月から離れ離れになり、遠距離でやっていけるのだろうか」等々。これらの思いが彼女を金縛り状態にさせたのでしょう。

 そして彼女は、告白するのは止めようと決意したのです。それが分かるのが繰り返しサビ前のブリッジ部です。

桜が枝に咲く頃は
違う世界でひとりぼっちひとりぼっち
生きてる

引用元

 「ひとりぼっち」という言葉は腹を括った彼女の気持ちの表れだと思います。お互い違う世界で、これまでの思い出を封印してスタートを切ろうと決めたのでしょう。

 ところが!彼は彼女が予想しなかった行動に出ました。東京の連絡先を書いたメモを彼女に渡したのです。恐らく渡したあと走りさったであろう彼。雨の中残された彼女。

雨に濡れたメモには 東京での住所が…

握りしめて泣いたの

引用元

 彼も彼女の事を想っていたんですね。彼女の涙は単純に喜びの涙かと思いきや・・・もっと複雑なものみたいです。

そうこのままでいいの ただのクラスメイトだけで

引用元

 自分に言い聞かせているフレーズに聞こえます。彼女はこれまで以上の関係になる事を避けました。恋愛に対する自信の無さから一歩前に踏み出せなかったのでしょう。

 本当なら彼との両想いが念願だったはずなのに、彼女の自分の気持ちに素直になれないところは、今で言う「こじらせ女子」だと思います。

 ただその「こじらせ方」が、ただの卒業ソングで終わらない切なく甘酸っぱいドラマを演出しているのでしょうね。

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