グッド・バイ・マイ・ラブ

 グッド・バイ・マイ・ラブ  歌手:アン・ルイス 作詞:なかにし礼

 1974年4月、アン・ルイスの6枚目のシングルとしてリリース。当時、アイドル路線で売り出していた彼女にとって初めてのヒット曲になりました。その後、1989年の坂上香織、2006年の福田沙紀等、多くの歌手にカバーされています。

 歌詞はこちらで。

 そのタイトル通りに男女の別れの歌なのですが、あまり悲壮感が感じられません。それには3つの理由があります。

 まず1つ目は、歌っているアン・ルイスが当時18歳(!)だった事や、そのキャラクターの勢です。物怖じしない、天真爛漫なハーフ。今で言うならローラのような感じでしょうか。

 そして2つ目の理由は1コーラス目の歌詞の中に。

グッバイ・マイ・ラブ この街角で
グッバイ・マイ・ラブ 歩いてゆきましょう
あなたは右に 私は左に ふりむいたら負けよ

引用元

 彼女は彼に、昔の西部劇の決闘シーンのような、背中合わせで歩き、振り返らない別れ方を提案しています。

 決闘では決まった歩数で振り向き早く撃った方が勝ちですが、この場合は振り返らずに歩いて行った方が勝ちなのです。まるで、どちらかの心の弱さを賭けたチキンレースのようです。

 こんな粋なゲームのような別れ方を提案する彼女ですが、それは抑えきれそうにない悲しさを隠すためなのでしょう。

グッバイ・マイ・ラブ も一度抱いて
グッバイ・マイ・ラブ 私の涙を
あなたの頬で ふいているのよ 泣きまねじゃないの

引用元

 溢れ出す涙を拭うように、彼の頬に自分の頬を押し付けます。あえて「あなたの頬で涙を拭いてる。泣きまねじゃない」と言う彼女。ゲームのような別れ方を提案したのは、強がっているだけで、こんなにも悲しさでいっぱいなのだと彼に訴えているのでしょう。

 この彼女の言動で思い出される人物がいます。ドラマ「東京ラブストーリー」で鈴木保奈美が演じた赤名リカです。こちらも自由奔放プラス恋愛をゲームのように進めつつも、実は自分を素直に出せない不器用さありました。

 そんな女の子の切ない気持ちが「別れ」という現実よりも前に出てきている事が悲壮感を感じられない2つ目の理由です。

 3つ目の理由が一番大きく、それは2コーラス目にあります。

グッバイ・マイ・ラブ 二人の恋が
グッバイ・マイ・ラブ 真実ならば
いつかは逢える これが本当の さよならじゃないの

引用元

 この別れは本当のさよならではないと言い切っています。お互いの気持ちが真実ならば、再び運命の糸で手繰り寄せられるはず。

 では、この曲は何に対して「さよなら」を言っているのか?答えはタイトルにそのまま表示されているんですね。

 Good Bye My Love → さよなら私の恋心。

 彼女は最初から、彼にではなく、自分自身の恋心に別れを告げていたのです。それも永遠の別れではありません。また彼と出逢えたなら、恋心もきっと戻ってくるはず。

 同時に彼女が別れを告げているのは、今日までの「幼い自分」のような気がします。再び彼と出逢う時は、大人の女になっていたいという気持ちもあるのではないでしょうか。

 そんな本人の願望も見え隠れするところが、悲壮感を感じない3つ目の理由なのです。

忘れないわ あなたの声 優しいい仕草 手のぬくもり
忘れないわ くちづけの時 そうよあなたの あなたの名前
もちろんあなたの あなたの名前

引用元

 幼い自分の恋心と訣別する彼女は、彼の思い出を鮮明に残そうと誓います。再び出逢う時の為に、いい思い出として残そうとしているのかもしれません。

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