青春の影

 青春の影 歌手:チューリップ 作詞:財津和夫

 1974年6月、チューリップ6枚目のシングルとしてリリース。ドラマ「ひとつ屋根の下」の挿入歌をはじめとして、様々な映画やCMでも使われています。

 歌詞はこちらで。

 財津和夫本人も言っているように、曲調や歌詞の一部から、ビートルズの「The Long And Winding Road」のオマージュ作品であることがわかります。さすが「博多のビートルズ」の代表作です。

 「The Long・・・」は、「君のもとに向かう道は、長く曲がりくねった道」と歌っているのに対し、この曲は、「君の心へ続く道は 長い一本道」であると表現しています。

 曲がりくねった道と一本道、どちらも険しい道には違いないのですが、前者が先が見えない試練そのものであるのに対して、後者はまっすぐな先に目標が見える分、心の励みになるような感じがします。

 別れの歌という説と、始まりの歌という説がありますが、私は「再出発の歌」だと捉えています。様々な経験を積んだ男女がいて、男が女に一緒に再出発をしようと問いかける歌じゃないかと思うのです。

 まず1コーラス目で、男のこれまで歩んできた道とこれからの決意を歌っています。

自分の大きな夢を追うことが 今までの僕の仕事だったけど
君を幸せにするそれこそが これからの僕の生きるしるし

引用元

 自分の夢に向かって、一心不乱に進んできたのでしょう。しかし、そこで何らかのつまづきがあった。ふと周りを見回すと、自分はひとりぼっちだという事に気付いたのではないでしょうか。

 男は一旦夢を諦め、愛する女を幸せにする事で人生のやり直しを計ろうと決めたのです。

 そして2コーラス目では女の過去、現在を歌っています。

ただ風の中にたたずんで 君はやがてみつけていった
ただ風に涙をあずけて 君は女になっていった

引用元

 風は女に対して冷たく吹く現実という風でしょうか。その中で彼女が見つけたものとは?答えはAメロの部分にあります。

愛を知ったために涙がはこばれて 君のひとみをこぼれたとき
恋のよろこびは愛のきびしさへの かけはしにすぎないと

引用元

 恋愛を経験した彼女は、ある現実を知ります。「恋のよろこび」はただの序章に過ぎず、その先には「愛し愛される事の厳しさ」があるものだと。その事を見つけた彼女は少女から女へと成長したのです。

 1コーラス目は、思うように行かずに夢が頓挫した男の姿。2コーラス目は、恋に恋する乙女ではいられない女の姿。共にそこには「挫折」が見えます。

 男はその挫折を受け止め、それを抱えたまま女の元へ向かおうとしています。

君の心へつづく長い一本道は いつも僕を勇気づけた
とてもとてもけわしく細い道だったけど 今君を迎えにゆこう

引用元

 挫折を抱えているからこそ、一本道の先に見える目標を励みにしたいのです。「The Long・・・」のように曲がりくねった道だと心が折れてしまうのでしょう。

今日から君はただの女 今日から僕はただの男

引用元

 夢想家ではなくただの男として、恋する乙女ではないただの女を幸せにするから、一緒に再出発しようと語りかけている気がします。紆余曲折の結果、しっかりと見えてきた現実というステージで。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です