Hello, Again ~昔からある場所~

 Hello, Again ~昔からある場所~ 歌手:My Little Lover 作詞:KATE 

 1995年8月、My Little Lover(以下マイラバと表記)3枚目のシングルとしてリリース。

 歌詞はこちらで。

 曲の主人公は男性です。最近、AKBグループや坂道グループの楽曲でも見られるのですが、女性ボーカルが歌う事で男の少年性が強調される手法の走りのような曲だと思います。

 2010年にはJUJUがアレンジを変え、バラード曲としてカバーし話題になりました。

 作詞の”KATE”はマイラバのメンバー、”Kenji Akko Takeshi Ensemble”の略語を意味し、女性が作詞しているイメージを作るために小林武史が付けた共作名義ですが、実際は小林氏の単独作品です。

 歌詞に出てくる男は過去の恋愛を後悔し、苦しんでいます。そしてそこから立ち直ろうともがく姿を描いた歌です。

 キーワードは「雨」です。曲の序盤からラスト直前まで、舞台は雨の中なのです。

雨はこの街に降り注ぐ 少しのリグレットと罪を包み込んで

引用元

 男の中にあるリグレット(後悔)と罪悪感。別れた恋人に対するものなのでしょう。それを包み込むように男の住む街に降り注ぐ雨。

いつも君と待ち続けた季節は 何も言わず通り過ぎた

引用元

 昨年まではこの季節が訪れる事を、恋人と2人楽しみに待ち続けていました。でも1人で過ごす今年は気が付けば、もうその季節が終わっていたのです。

泣かないことを誓ったまま時は過ぎ
痛む心に気が付かずに僕は一人になった

引用元

 恋人を失った事実を認められぬまま、張り詰めた気持ちで時をやり過ごしていたのですが、心のダメージは男が思っていたよりも大きかったようです。大好きだった季節が通り過ぎた時に、男は改めて一人になった現実を突き付けられました。

 そして、別れの場面での出来事を思い出す男。

「記憶の中で ずっと二人は生きて行ける」
君の声が今も胸に響くよ それは愛が彷徨う影

引用元

君は少し泣いた? あの時見えなかった

引用元

 あの日、恋人が言った言葉。それを鵜呑みにしていた男。しかし、この声が今でも心に響いているのはきっと強がりだったに違いないのです。男はその事に気付けませんでした。恋人が密かに流した涙も分からないまま、二人は別れてしまったのです。

 やはり後悔と罪悪感は別れた恋人に対してだったのですね。降り注ぐ雨に濡らされて、男の肩に重く圧し掛かっているのでしょう。

 すっかり自信を喪失している男。でも、自身の進むべき道を少しずつ模索し始めていたのです。

だけど新しい扉を開け海に出れば
波の彼方にちゃんと“果て”を感じられる

引用元

 「自分の限界を意識し、同じ過ちを犯さぬようにする冷静さも忘れていないさ。」と、自分のプライドを覗かせながら男は自信を取り戻そうともがいています。

僕は この手伸ばして 空へ進み 風を受けて生きて行こう
どこかでまためぐるよ 遠い昔からある場所

引用元

 男にとってとにかく今は前に進むだけ。がむしゃらに頑張ってさえいれば、またきっと「昔からある場所=慣れ親しんだ自分の気持ち=失った自信・愛情・感覚」に出会えるはずです。

 人生をやり直す為に「生まれ変わる」という表現をする場合がありますが、誰でも今まで積み重ねた歴史があるのです。ゼロから始めるのもいいですが、「自分の歴史=昔からある場所」を取り戻す事も「やり直し」のひとつの方法だと思います。自分の歴史を無かった事にするのは少し悲しすぎますよね。

雨はやがて あがっていた

引用元

 生きる指針を明確にした男。気が付くと降り続いた雨はあがっていました。

 雨雲の隙間から射した陽の方向には「昔からある場所」が見えているのかもしれません。

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