白か黒か

 あなたは物事をはっきりさせたい人ですか?

 その場、その場で白黒付けないと、どうも気持ち悪くて次の段階へ進む気がしない。

 特に問題が起きた場合はちゃんと解決しない事には、それが原因で先々上手くいかないかもしれませんね。

 物事に誠実に取り組んでいるなら、その気持ちは大きいと思います。

 そんなあなたは責任感が強い素晴らしい人です。

 しかし、人と人との関係に置いては、時に白黒だけで決着を付けられない事があります。

 あえて「グレー」のままにしておく優しさが必要な場合も。

 例えば、最近何度目かの映画化をされ話題になった名作「レ・ミゼラブル」の中にこんな場面があります。

 長年の刑期を終え、仮釈放になった主人公ジャン・バルジャン。

 理不尽な法の裁きにより奴隷のような囚人生活を送った彼は、すっかり気持ちが荒んでいました。

 彼は泊めて貰った教会で銀の食器を盗んで逃げようとします。警官に捕まりますが「これは司祭に貰ったものだ」と言い張る彼。

 そんな彼の言い分に司祭は「本当です。これは私があげました。これも忘れずに持っていきなさい。」と燭台まで差し出したのです。

 司祭は法の裁きで決着を付けず、ジャン・バルジャンの心に解決を託したのです。

 ジャンは自分の荒んだ気持ちを悔い改めて、これからはまっとうな人生を歩もうと誓います。

 もしここで司祭が白黒はっきりさせようとしたら、警官へ「盗まれました」と申し出たでしょう。

 また奴隷のような囚人生活へ逆戻り。ジャンの心はますます荒んでいったに違いありません。

 でも彼はジャンがきっと立ち直れると信じて「グレー」のままで終わらせたのではないでしょうか。

 ちょっと極端な例かもしれませんが、私たちの暮らしの中にも似たような事がないでしょうか。

 ルールに乗っ取って進めてしまうと、そこに関わる人の心を傷つけたり、人間関係に支障をきたしてしまう事が。

 人の気持ちを考えながらケースバイケースで臨機応変にいきたいものです。

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